「…え、ここ」

「なんだよ。浩介、早く来いよ」

「え?あ、あぁ」

 そんな偶然って思った。でも、気のせいなんかじゃなくて、そこは確かに幼いころ兄ちゃんに連れてきてもらったあの場所で、そこにはよもちゃんがいて…。

 幼いころの記憶が一気によみがえる。

 ここは、確かに俺が遊んでた場所だ。よもちゃんと、遊んでた場所だ。

 そんな思い出の場所に偶然にもやって来たことにひそかに感動して、足を踏み入れる。ほとんど変わっていなかった。

 俺と同じくらいの年齢の奴らが大勢いる。嵐鬼に入れてもらうために集まった奴らだろう。

「うっはぁ、今時暴走族に入りたいってやつこんなにいるんだな」

「っし~!!」

 空気の読めない奴が1人。そんな茶々にも動じずに、ここに集まる奴のほとんどはその目が真剣だった。

「…俺も、はいろっかな」

「はぁ?浩介マジで?」

「せっかく来たし」

 友達のめんどくさそうな顔はもう無視する。

 ここにまた来たいって思いが強くなる。

 たとえそこにもうよもちゃんがいなくても、ここに戻ってきたいって思った。