ヤダヤダって言われるのがだんだん腹が立ってきて、ムカついて、強引に女の子の手を掴んだ。

「あそぼ!」

 ムキになったんだと、思う。

 女の子はびっくりした顔で、じっとぼくを見つめる。

「…ほら、よも」

 女の人が、女の子の頭を撫でる。

 よもってみんなが呼んでるから、よもちゃんっていう名前なんだって、勝手に納得。

「よもちゃん、あそぼ」

 ダメ押しのもう1回。

 よもちゃんは渋々といったように頷いて、ぼくの手を握る。

 でも、ほとんど一緒にいた人たちから離れないで、立ち止まった。

 しょうがないから、家から持ってきたボールを持ってきて、サッカーをする。

 足でけったボールはころころ転がって、よもちゃんのところにいく。でも、よもちゃんはそのボールを手で止める。