「お前、なんで何にもいわねぇんだよ」

「え?…い、言えるわけないだろ!」

「はぁ?」

「大体、秋空にお膳立てされて言うとか、屈辱」

「…めんどくせぇな、お前は!」

 こそこそと言い合いをしていると、蓬が不思議そうな顔で見つめてくる。

 仕方なく雷斗を離し、思わずため息をついた。

「どうしたんですか」

「なんでもねぇよ。行こうぜ」

「よもちゃん、昨日はびっくりさせてごめんね」

 歩き始めると、雷斗も当たり前のように一緒に付いてくる。

 蓬は首を横に振ったが、表情は苦笑に満ちていた。

 まだ対等だなんて絶対に言わせねぇけど、俺が張り合えるのは雷斗くらいだ。

 だから、ライバルとしては認めてる。

 でも、いつかは対等なライバルとして、お前が見れるように。

 そして、蓬の気持ちが揺らいでほしくないと勝手に願った。

対等なライバルへ END