やることを決めて、雷斗に向き合うと、拳を固めて殴りかかる。

 いとも簡単にそれを避けた雷斗からの反撃を防ぎ、瞬時に追撃する。

 確実に1発を食らわせた。なのに、雷斗の体はぶれることもなく何のためらいもなく顔面を狙ってきた。

 咄嗟に腕で防ぎ、距離を置こうと地面を蹴ったと同時に雷斗もついてくる。

 っくそ、ケンカ慣れしすぎだろこいつ…。

 何のためらいもない拳や蹴りをギリギリのところでかわす。でも、こんなのもいつまで続くか。

 そう思った瞬間、足を払われてバランスを崩す。

「ッチ」

 地面に手をついて、雷斗の腹めがけて蹴りを入れる。

 流石にそれには顔をゆがめてそれ以上の追撃は来ない。

「っは…やるじゃん」

「…」

 ダメだな。全然集中が解けてねぇ。

 これで解けてくれればともおもったけど、想像以上に俺が踏み込んだところが雷斗にとっての地雷だったかよくわかる。

 自業自得だな。これは…。