目の前にいる2人を抱き寄せて、こらえきれなくなった涙が床に落ちる。

「ねーね?」

「いたい?」

「ううん。違うの。…嬉しくて泣いてるんだよ」

 智希が頭を撫でてくれる。それを見たからか、望亜も同じようによしよしって言ってくれて、また涙がこぼれる。

 膝をぺちぺち叩かれているのに気付くと、咲ちゃんまで慰めてくれるみたいでした。

「よも、泣くのは早いわよ。ほらご飯食べてケーキ食べなきゃ」

「そうよ。ほらほら涙仕舞って」

 お母さんと紅葉さんに肩を叩かれて、涙をぬぐって顔を上げる。

 振り返れば、優しく微笑んでくれるお母さんたちがいて、また笑顔になれる。

 ダイニングテーブルにはたくさんの料理が並んでいて、当然のようにお祝いしてくれる。

 いつも通り完全に酔っぱらった俊也さんに茶化されて、それをお父さんと剣人さんが怒って、颯人さんが苦笑いして、お母さんと紅葉さんが呆れた顔をしてる。

 小さなころから当たり前の光景と、大切なきょうだいと、友達がいて、幸せなんだって実感する。

 この幸せがあるのは全部、お父さんが私を見つけてくれたから。