車に乗り込んで、車を走らせるお父さん。私とあきくんは後部座席に乗って、一生懸命おしゃべりする咲ちゃんの相手です。

「あぶ~」

「咲ちゃんご機嫌だね~」

「あ~、あう」

「蓬しか見てねぇな」

「そんなことないですよ。ね、咲ちゃん」

「ぷ~」

 きょろきょろあちこちを見まわす咲ちゃんは、あきくんを見るとなぜだかぷ~しか言いません。

 試しにあきくんのお膝の上に移動させてみると、ぷ~ぷ~言い始めてしまいました。

「…嫌ってんだろ。そうなんだな!?」

「あう」

「返事するのかよ!」

「あははッ咲ちゃんかわいい」

 咲ちゃん相手に結構真面目に話し始めるあきくんもかわいいんですが。

 笑っていると、視界の隅に家の近くの本屋さんが横切っていく。あれ?