望亜をどうしようか悩んでいると、リビングから咲ちゃんを連れたお父さんが出てきました。
「あ、お父さん。今日早いね」
「まぁな。秋空くんもよく来た」
「お邪魔します」
お父さんは望亜を見て、ちょっと苦笑いしています。本当にどうしちゃったんでしょうね…。
お父さんは望亜から私に視線を移すと、少し笑いました。
「よも、集めてた小説の新作出てたんじゃないか?」
「え?そうでしたっけ?」
「買いに行くぞ」
え、今から…?そんなわざわざ出て行かなくてもいいんですが…。
「えぇ、わざわざいいよ。明日本屋さん覗いてみるから」
「…蓬、俺もちょっと見たいやつあるんだ。連れてってもらおうぜ」
あきくん、なんでさっき言ってくれなかったんですか!とは言えずに口を閉じる。
なんだか断る雰囲気ではなくなってしまいましたね…。
行くぞと車のキーを見せてくるお父さんに、反対はできずにそのまま玄関へ逆戻り。
望亜は連れて行こうとしたらいってらっしゃいって見送られてしまいました。その代り咲ちゃんが一緒に行くそうです。