「蓬、どれ見るんだ?」

「えっと…あ、ありました!」

 指さした映画のタイトルを見て、あきくんはふーんと言いながら、チケット売り場に視線を向けたかと思うと、すぐさま視線を映画タイトルに戻しました。

「…蓬、これで間違いないのか?」

「え?あってますよ」

 あきくんとしばらく視線を合わせると、あきくんはものすごい大きなため息をつくと、私の手を引っ張ってチケット売り場に向かいました。

 はて?あきくんはどうしたんでしょうね?

 あきくんはすんなりとチケットを買って、列から外れてとりあえず近くにあった椅子に座りました。

「蓬、お前いつもこういう映画見てんのか?」

「お父さんと一緒の時だけですよ。お母さんはこういうのあんまり好きじゃないみたいなので…。あ、あきくんも苦手だったりしましたか!?」

「いや、大丈夫だけど」

「よかったぁ…」

 ひと安心です。もし苦手だったら今すぐにでも見る映画変えなきゃいけないところでしたよ。

 でも、あきくんと映画来たの初めてなので楽しみです。