「ついでにもらって来ちゃって」

「…ッ今日よもの誕生日か!?」

「え…清牙、まさか忘れてたの!?」

 しまった。すっかり忘れてた。つい1週間前まで覚えてたのに…。

 まずいプレゼントもまだ用意してない。午後休使って探しに行くか…?

「珍しいわね。絶対忘れなかったのに」

「昨日まで仕事が立て込んでてな。ありがとう、助かった」

「午後休使うなら、私も買い物連れてってよ。一緒に探してあげるわ」

「分かった。また、メールする」

 まだ不機嫌な咲の頭を撫でて、大騒ぎする智希と望亜にも手を振って、家を出る。

 さてと、今年は何にするかな…。

「うわわわわ…あ、お父さん!」

「え、よもどうした」

 咄嗟にケーキの予約の紙をポケットに突っ込む。

 幸いなことによもは気づいた様子もないくらいの慌てようだ。

「お財布忘れました!」

「おいおい、気をつけろよ」

 人のことは言えないが、とりあえず自分のことは棚に上げておく。

 家にあわただしく戻っていたよもを捕まえて遊んでいるのか子どもたちの楽しそうな声が聞こえてくる。