「なら、私と約束するか。蓬ちゃんを幸せにすると」
「約束してやるよ。守れなかったら、死刑にでも何でもすればいいさ」
広西の口角が上がる。俺に背を向けた広西に、婦警も続く。
「ここの支払いは済ませておく。そのうち、正式な書類を持って訪ねるよ」
そう言葉を残して立ち去った広西と婦警を見送って、腕の中ですやすや眠っている蓬に笑みをこぼす。
「高校生で将来決めやがったな。お前らは」
「そうね。清牙、私のことも、幸せにしてよね」
「あぁ。約束する」
「ありがと」
「早速のろけんな~。子どもに害だぞ」
剣人はどうにでもなれと言わんばかりに投げやりになった。
桃が左腕に捕まってきたのをいいことに、その手を解いて肩を抱き寄せる。
右手に抱いた蓬を桃の腕に託して、病院を出た。
倉庫に連れ帰った蓬を見て、俊也が大喜びして、蓬を抱っこしようとしたところを蹴り飛ばして阻止したのは、のちに延々と根に持たれることになる。