「清牙!正気か!?」

「正気だが」

「俺らまだ高校生だぞ!?それに、いきなりシングルファザーになるつもりか!?」

「あぁ、それなら問題ないわよ。蓬、私がお母さんになっていい?」

「桃まで何言ってんだよ!?」

 剣人が悲鳴のような声を上げる。

 それを無視して、桃は蓬を覗き込んでにこにこしている。

「桃、将来決めていいのか?」

「あら、心外ね。清牙が、私をもらってくれるんでしょ?清牙が、蓬を娘って言うなら、私の娘だもんね~」

 桃は動じることもなくスッパリと気持ちのいいくらい断言を決めると、また蓬を撫でて笑った。

 その顔は早くも母親じみていると感じるのは多分気のせいじゃない。

「ちょ、ちょっと待った!そんなこと…」

「養子縁組とかあんだろ?不可能じゃないはずだ」

「不・可・能だ!!養子縁組ができるのは、結婚した20歳以上だと法律で決められて…」

「なら、あと4年だろ?蓬、あと4年我慢しとけな。それまでは兄ちゃんだ」

「晴野くん…」

 広西が頭を抱えて唸る。

 蓬はうとうとして、すぐにあっさりと眠ってしまった。しっかり服を掴んだ手は離れなかった。