「はぁ…はぁ…」
真っ白なベッドの上で、点滴を繋がれた蓬は荒い呼吸を繰り返すだけで一向に目を覚まさない。
あの近くの内科のクリニックに駆け込んだが、ここでは無理だとすぐに救急車が呼ばれた。
そのまま市民病院に運ばれた蓬に連れ添って、何とか検査が終わってようやく落ち着いた。
幸い、打撲と脱水症状で命に別状はないと医師は笑った。
それでも、服の下から見つかった痣や傷は尋常な色ではなく、精密検査までしたのはそのせいだった。
たくさんの処置室と検査室を連れまわされたのに蓬は目を覚ます気配は全くなかった。
それは今も同じで、タオルで額に浮かんだ汗をぬぐってやるが、苦しそうな表情は消えることがなかった。
「晴野さん、警察とお友達が来ていますよ」
「あ、すみません。友達だけ先に」
「分かりました」
聞き分けのいい医者は、俺の言葉をあっさりと受け入れて、剣人と桃だけを連れてきた。
2人はベッドに寝かされた蓬を見ると、思わず表情を引きつらせる。