「清牙、そんな心配しなくても大丈夫だろ。あの刑事だって約束してくれたんだから」

「…あぁ」

 とか言いながら、ここ3日完全に上の空なんだよなぁ…。

 清牙が迷子の蓬を拾って、一晩だけ一緒に過ごして、翌日すぐに警察に引き渡してから3日。

 清牙は学校でも、倉庫でも、たぶんバイト中でもぼんやりしてる。

 たっく、たかが迷子の子どもだぞ。なのに、なんでこんな思いつめたような顔してんだよ。

 高校に入ってからつるむ様になった清牙は、頼れる奴で、とてもバカやってるようには見えないくらいしっかりしてる。

 学校側に暴走族であることなんか一切知られていないくらいだ。

 ちょっとまじめすぎるんだよな。だから、たぶんこんなに思いつめてるんだ。

「…そんなに気になるなら、聞きに行くか?」

「…いや、どうせはぐらかされるのがオチだ」

 そういう鋭いところは今はいらねぇっつうの。

 警察相手でも関わりを持たなければ一切信用しない。清牙はそういう奴だ。

 授業開始のチャイムが鳴る。清牙はまだぼんやりしたままで、仕方なく席に戻った。