「どうかされました?」

「あの子どうなるんすか」

 回りくどいのはやめて、直球で質問を投げる。さっきはぐらかされたが、これぐらい聞く権利はあるんじゃないか。

 広西さんは少し迷ったように視線を逸らしたが、また視線を戻してくる。

「親御さんからの連絡を待つ形になります。もちろん、こちらでも蓬ちゃんを見つけた周辺の家に聞き込みはしますが」

「もし、見つからなかったら、どうなるんですか」

 こんな最悪の事態のことを聞くなんてどれだけ無神経だと思われたか、広西さんの険しくなった表情を見てすぐに分かった。

 それでも、その質問を下げる気はない。

「…そんな事態にはさせないために、私たちはあの子の身元を探すんだ。必ずあの子を親元に帰す。…たとえ返せなかったとしても、あの子を不幸なんかにしない。約束する。だから、警察を信じてくれないか」

 真剣な表情を見せた広西さんは、暗にこれ以上あの子にかかわるなと警告するような目をしていた。

 たった一晩だけ預かっただけだ。なのに、自分の中でどうしてあの子がこんなにも気になるのか、分からなかった。

 でも、確実に言えるのは、もう二度とあの子に会うことはないということ。