調書が終わり、俺たちは警察署を出る。
「だから、早く連れてけっていったんだよ…」
情が湧く前に、蓬に懐かれる前に、早く警察に預けていれば、蓬があんなに泣くこともなかったのかもしれない。
そういう意味では、残酷なことをしてしまったのかもしれない。
泣かれて別れるのがこんなにつらいとは思ってもみなかった。
「蓬、親早く迎えに来てくれるといいね」
せめてもの慰めに呟いた桃の言葉が、あの広西という刑事が一瞬見せた表情を思い出させる。
親はと聞いた俺に、表情を歪めたあの刑事は…。
もしかして、子どもがいなくなったという通報が一切入ってなかったからあんな顔をしたんじゃ。
じゃあ、蓬はこれからどうなるんだ…?
自然に足が止まった俺を、剣人も桃も怪訝な顔で見つめた。
「清牙?」
「…戻るぞ」
「え、ちょっと清牙!?」
桃の言葉を背に今出てきたばかりの警察署内に戻る。
戻ってきた俺に受付のような場所にいた警察官たちは不審な目で俺を見る。