「1日だけとはいえ、一応自己紹介しとこうか。蓬ちゃん、私桃っていうの。桃おねえちゃんって言ってみ?」

「あ、桃ずるい!私も!蓬ちゃん、私は紅葉。ほら、言ってみな?」

「桃、紅葉、そんな一気に行っても混乱させるだけだろ」

 桃と紅葉の押し合いに、剣人が仲裁に入る。

 蓬は2人を見比べて、やがて桃に視線を向ける。

「ももおねえたん…」

「ッ…やばいかわいい!ねぇ、清牙、蓬の添い寝したい。いいでしょ?」

「桃ばっかりずるい!」

「くれは、おねえたん」

「きゃぁあ!ねぇ、聞いた?かわいすぎる~」

 一瞬で2人と虜にした蓬はやっぱり不思議そうな顔で、2人を見ていたが、俺に視線を向けてきた。

「せーがおにいたん」

「ん、よくわかったな」

 ちゃんと教えてもないのに、蓬ははっきり俺を見て名前を呼んだ。

 頭を撫でてやれば、抱き着いてきて、思わず頬が緩んだ。