「あきくん大人しくしてください!」

「自分で拭けるッ」

「いいからいいから」

 何にもよくねぇよ!子どもみたいに頭拭かれて、熱くなった顔を隠すようにそっぽを向く。

 蓬は手慣れたように髪をタオルで拭いていく。

 風呂から出て、ベッドに座った瞬間タオルを奪われた。そっからずっと蓬のペースだ。

 蓬の優しい手つきは簡単にいつも子どもを相手にしてるんだって分かる。

「あきくん?」

「ん」

「あはは、子どもみたい」

 お前がそうさせたんだろ!って、蓬の腕を思いっきり引っ張って腕の中に閉じ込めた。

 …閉じ込めてから失敗したことに気づく。

「…蓬、お前ッ」

「へ?」

「…ッ!!」

 どうすりゃいいんだよこれ!つうかこいつの警戒心のなさはほんとになんなんだよ!!

 桃さん、蓬にせめて言っといてくれれば…。