ささやかに拍手を送った蓬に対して、雷斗は照れたように笑う。

 まだ幹部決めは終わっていないのに、どこか安心感が心を埋める。

 総長の器を持った奴が、後を継ぐことの安心か。
 歴代の総長は個性こそあったが、共通していることは1つ。

 それは、守るという決意を持った奴だ。

 嵐鬼を、仲間を、家族を、守ると誓った奴が総長を継いでいく。清牙さんは、そういう人だったから。

「蓬」

「なんですか?」

 俺が、その決意を持ったのは確実に蓬がいたからだ。

 こいつがいなかったら、俺はきっと何もないままケンカしていただけ。

「ありがとな」

「…はい」

 俺が守る役目は、あと少しだけ。だが、俺が総長である限り、蓬にも、雷斗にも絶対に傷は負わせねぇ。

 それが、総長の俺にできる唯一のことだから。

総長としての器 END