『やっと分かったみたいだな。よもを守らなきゃいけない理由』

 後日、総長に呼び出された俺は、総長と2人で話をした。

 その時の総長の顔は、苦笑いを浮かべたままだった。

『まさか1年も分からないまんまだとはな。先代が聞いたら拳骨が飛ぶぞ?』

『すんません…』

『まぁ、この世界の汚さも知ったわけだけどな…。朔夜、お前を、正式に嵐鬼のメンバーとして迎える』

 気づけるまで、正式に入れる気はなかったらしい。
 先代が決めたらしいが、誰もがそれに反対する気はなかった。

 蓬が見つけた奴は、大体が総長か幹部に上がる。そんな奴が、蓬を守れないことがないように、少し慎重になっていたらしい。

『いい総長になれよ?朔夜』

『…はい』

 きっと、その言葉もいつか現実になると、俺は覚悟を決めた。

 嵐鬼の名を継ぐこと、そして、蓬を決して危険にさらさないこと。先代との約束を守るために。そして、大事なものを守れるようにと。