『待ちやがれ!』

 バイクで飛び出してきた相手に、思わず避けるが、相手の持っていた鉄パイプを奪い取る。

 一瞬隙を見せた相手の頭に鉄パイプを叩き込んで、バイクから引きずり落とす。その間に俺の隣を駆け抜けていったバイクは、蓬の姿を追いかける。

『蓬!伏せろ!!』

 声が届いたのか、蓬はとっさにしゃがんで、相手の手をかわす。バイクはすぐに止まれない。

 もたついているバイクを必死に追い越して、蓬が嵐鬼の倉庫のある塀の中に飛び込んだのを見て、少しホッとする。

 でも、周りは完全に囲まれた。

『ッチ、しかたねぇ。お前だけでも…』

 バイクを降りてくる奴らと、俺を逃がさないようにバイクに乗ったまま周囲を囲う奴ら。

 そんな奴らに鉄パイプ1本だけで応戦しようなんて、バカだって分かってた。

 でも、俺が捕まったら、蓬を逃がした意味もなくなる。だから、やるしかない。

 1人目が動き出した瞬間、俺も動き出した。