コンビニついて、目当てのココアと牛乳を買った蓬は満足してすぐにコンビニを出た。
そして、行きよりずっと速いスピードで倉庫に戻ろうとする。
『蓬、もうちょっとゆっくり歩け』
『…早く帰らなきゃダメです!朔夜さん、走ってください!』
そんなに早くココアが飲みたいのかとあきれた。でも、そうじゃなくて…。
倉庫までの近道である路地に入った瞬間、耳をつんざくようなバイクのエンジンの音が背後から聞こえてくる。
振り返った時には、特攻服に身を包んだ奴らのバイクが入ってきた路地をふさいでいた。
『っな…』
『朔夜さん!』
思わず足を止めてしまった俺の手を掴んで走り出した蓬だが、すぐに行く手もふさがれる。
バイクに囲まれた俺と蓬は、身動きが取れなくなった。
『おい、その女を渡せ』
フルフェイスを被ったままの男が蓬を指さす。蓬は身を固くさせたが、どこか分かっていたような顔をしている。
まるで、以前にもこんな状況に陥ったことがあるかのように。