総長が代変わりして、俺は中3になる。

 中3になっても、あの言葉の意味は分からなかった。

 蓬が人を拾ってくる気配もないし、時々遊びに来るだけで守らなきゃいけない理由もわからなかった。

『朔夜さん!お買いもの付いてきてください!』

『先輩と行かないのか?』

『なんだか会議中みたいなので…』

 確かに最近、嵐鬼は他のチームとの対立で少し立て込んでいた。

 蓬もそれを敏感に感じ取って、いつも一緒に付いてきてもらう上の人たちが外せないこともわかっていたんだろう。

『…分かった。でも、コンビニしか行けねぇからな』

『はい!ありがとうございます』

 蓬を連れ出すのになんとなく気おくれして、1番近くのコンビニだけと自分を納得させる。

 嬉しそうな顔をする蓬に、少しだけ頼られたことをうれしく思う。

 だけど、何もわかってなかった俺は、自分がどれだけ愚かな判断を下したかなんて、分からなかった。