『お兄ちゃん嵐鬼に入ったんですね!』
『…お前、誰かの妹か?』
『?違いますよ』
誰かの妹じゃないなら、なんでこんなところに何も知らないような顔をしている女の子がいるのか、意味が分からなかった。
話に聞き耳を立てていたのか、何人かの目がすわって女の子を睨む。
『あ?こら、よも。お前自分の兄貴の顔も忘れたのか。ああん?』
『私にお兄ちゃんはいません。かわいい弟ならいます!』
脅されてるのに、あっさりそれをかわした女の子は、弟がいるというところだけ少し得意げな笑みを見せる。
『よも、もう1回言ってみろ!』
『うわぁ!?』
捕まえられそうになって、大慌てで逃げ始めた女の子を、何人かが本気で追い掛け回す。
少し危ない光景に見えるのは、仕方がないと思う…。