『お前、嵐鬼に入るか』

 あまりに無茶苦茶な誘いだった。

 でも、当時家に帰りたくなかった俺は、半ばやけくそで嵐鬼に入ることを決意した。

 そして、その男は当時の総長で、冷酷さで有名だった人だった。

 見習いで嵐鬼の倉庫に出入りし始めた俺は、徐々に繁華街で暴れることも少なくなっていった。

 そんなある日。学校帰りに嵐鬼のたまり場に行くと、なぜかいつもよりにぎやかだった。

『こんちわ…』

『お、よも、お前が拾ったやつ来たぞ』

『あ、この前のお兄ちゃんですね!』

 厳つい男たちの中から出てきたのは、俺よりも小さな女の子で、俺を見た瞬間嬉しそうに駆け寄ってきた。

 小学生かと思ったけど、少しぶかぶかなセーラー服を着ていたから、中学生だってわかった。