『…っあ』

 ここは、どこだ…。頭いてぇ…。

 何とか身を起こすと、全く知らない場所に寝かされていて、ソファに寝かされていたらしい。

 タオルケットみたいなのが膝にずり落ちてくる。

 何とか今の自分の状況を把握して、部屋に自分以外の誰もいないことも確認した。

『よぅ、目、覚めたか』

『!?』

 いつの間にかドアは開いていて、ドア枠に背を預けた男が自分を見ていた。さっき、俺が立ち向かっていったはずの男だった。

『お前!っ…』

『やめとけ。しばらく大人しくしてろ。ガキが』

 立ち上がろうと動いただけなのに、頭がひどく傷む。そんな俺に同情も何もなく、男はめんどくさそうな顔を決して崩さなかった。

『お前、もう暴れんのやめろ』

『は?なんでお前に指図なんか…!』

『俺は、お前より強い。ついでに、さっきケンカで勝った』

『あ、あれは!お前の前にもケンカしてたから!』

『戦場で、ハンデなんか関係ねぇんだよ』

 言い訳も、簡単にはねのけられる。

 何も言い返せずただ睨んでいると、男は笑った。

 初めて見せた笑みは、あまりにも怖かったという印象しか残っていない。