「雷斗本人に、聞いたの?」

「聞いてねぇよ。そもそも、あいつ最近顔出してねぇだろ」

 暑さのせいか、焔はめんどくさそうに言って、だらしない。

 雷斗に継がせる不安のもう1つがそれだ。

 最近、雷斗が顔を出す機会が減った。それは、一緒に住むことになった父親との折り合いがうまくいっている証拠だ。その幸せを奪ってまで、あいつをここに留まらせる理由はねぇ。

 だからと言って、どうするか…。

 幹部候補となりえる奴らの顔を思い浮かべていると、少しだけ騒がしい気がした。

 誰か、来たのか?

 丁度、幹部室のドアがノックされる。入れと声をかけると、そこにいたのは予想外の顔だった。

「久しぶりですね。元気でした?」

「渉さん!?」

 輝星の驚いた声に、焔がソファから転げ落ちる。

 渉さんは頬笑みを絶やさず、部屋の中に入ってくる。