「なぁ、蓬は誰かとずっと一緒にいたいって思うこと、あるか?」

 不意にこぼれたような言葉は、なぜか心の奥で高鳴っていたものを大きくさせる。

 あきくんを見れば、空を見上げたままの横顔が、少しだけ赤く染まっていて、自分の顔が少し熱くなったのを感じる。

「…あり、ます」

 あきくんと一緒にいて、抱きしめてくれたとき、一緒に笑っているとき…。

 ううん。違う。普段の、何気ないことをしているだけなのに、繋いだ手が、見せてくれる表情を、ずっと傍で感じていたいと思うことがある。

 その思いは、結構前から静かに心の奥でくすぶっていて、最近その思いが少しずつあふれてくる。

 今だって、繋いだ手を離したくない。ずっとずっとこのまま、あきくんの隣にいたい。

 繋いだ手がぎゅっと握られる。あきくんの顔は少し不安そうな色をしていました。

「そっか…」

 寂しそうな、何かを隠すような、そんな複雑な顔をしているあきくんに何を言ったらいいのかわかりませんでした。

 どうして、そんな顔をしているんですか…?