「施設出て、正解だと思うのはそういうこと。でも、1人でいることが時々寂しくなる」

「…うん」

「だから、誘ってくれて嬉しかった。清牙さんも、桃さんも、剣人さんたちだって、俺がいるのを当たり前みたいに扱ってくれるのも、嬉しい。時々どうすればいのかわかんなくなるけどな」

「…私を、育ててくれた人たちですから」

 清牙さんと桃さんはもちろん、剣人さんも、俊也さんも、颯人さんも、紅葉さんも、みんな私の育ての親です。

 幼いころから傍にいてくれた大切な人たちです。

「蓬はいい人たちに巡り合えたんだな」

「はい。清牙さんが父親になってくれたから、あきくんとも出会うことができましたし」

「確かにな」

 そっと手を伸ばすと、ぎゅっと繋いでくれる。

 小さな私の手を掴んでくれたお父さんみたい。あきくんは、どこかお父さんに似てる気がします。