「キャンプ、初めて来た」

「え、小学校は…」

「…行ける状況じゃなかったからな」

 経営難だった孤児院。

 それが発覚する前でも、あきくんはきっと何かを感じ取って、わざと休んだはずです。

 何となく返事ができなくて、黙ってしまうと頭をくしゃくしゃに撫でられました。

「施設長にも言われた。遠慮し過ぎだって。でも、なんかダメなんだよな。どっかで気後れする」

「…そう、ですね」

 あきくんとは、状況は全く違うけど、思い当たることはある。

 成長していくごとに感じる遠慮。
 清牙さんにも、桃さんにも、たくさん迷惑をかけた。
 小さなころは、一緒にいてくれることがただただ嬉しかったはずなのに、今はどこか遠慮が入る。