「蓬」
「え?わ!?」
呼ばれた瞬間に、背中から抱きしめられて変な声が出ました。
顔だけ後ろに向けてみると、いじわるな顔をしたあきくんがいて、思いっきり頬を膨らませてやりました。
「驚かさないでください」
「わりぃ。つうか、風邪ひくぞ」
「あきくんこそ…」
一度離れたあきくんは、隣に腰かけて、空を見上げると、今更気づいたようにすげぇとつぶやいていました。
「寝れないんですか?」
「…眠いといえば眠い。ただ、俊也さんのいびきが想像以上にでけぇ」
「あぁ…俊也さんお酒入ると余計に酷いんですよ…」
あきくんの睡眠を妨害した俊也さんのいびきの音量を簡単に思い返せるのもちょっと悲しいんですが…。
あきくんは空から視線を下ろし、私に顔を向けました。