「で、なんだよ」

「…なんでもない」

 あきくんは素っ気なくそう言って、弁当の最後の一口を食べ終えて、立ち上がりました。

「お茶買ってくる」

 引き留める間もなくあきくんは飲み物を買いに教室を出て行ってしまいました。

「…秋空、親の話あんましたがらないよな」

「え、あ…そうですね」

 嫌な思い、させたかもしれません。
 あきくんのお父さんの居場所、まだわかってないんです。

 雷斗くんは、父親が探して迎えに来てくれたのに、自分は来ない。
 会いたいって思ってるのに、会えない。

 早く、見つけなきゃ。あきくんのお父さんの居場所。約束したんですから。

 1人で意気込んでいると、雷斗くんは不思議そうな顔をしていましたが、特に何も言ってきませんでした。