「…蓬、やっぱり…」
「なら、ここで待っていてくれますか?私は、お話に行きます」
繋いだ手を離そうとすると、離れないように強く握られる。
あきくんは迷う様に自身が育った施設、『おひさまの家』を見上げる。
あの騒動の後、何とか学校にも復帰できて落ち着いてきたこの頃。
そんな休日に私とあきくんは孤児院である『おひさまの家』にやって来ていました。
それは、私が情報屋として動けなくなったことを伝えるために。
そして、あきくんは、高校入学以来会いに来ていない施設長に会うために。
一緒に来たわけですが、あきくんは施設を見た途端にしり込みして動けなくなっていました。
「…あきくん、会うのは怖いですか?」
「…いや、ただどんな顔してあえばいいのか…」
「なら、強制連行させていただきますが」
「ッ…蓬って意外に強引だよな」
「そうですか?そして、手を離さないと言うことはそれでよろしいですね?」
と、いうと素早く手を離したあきくん。
…嫌、だそうです。