「堀先輩とお兄ちゃん、喧嘩でもしたの?」

「なんで?」

「なんとなく」

「特には…あっでもなんだか今日は百ちゃんのボキャブラリーがぼけえしかない気がするね」






聞きたいことはそこではない。


でも確かに堀先輩を罵倒するのはいつものことだけど。

なんだ。なんだろう、なんだかお兄ちゃんがそわそわ落ち着きのないように見えるのだ。


これは妹の勘ってやつ?






……もしかして。


「「恋?」」




堀先輩と声が重なった。

まさか、そんな、だって。あんなにお兄ちゃんに変な虫がつかないようにべたべたべたべたしていたつもりだったのに。


あたしの目を盗んでお兄ちゃんのハートを奪うだなんて、一体どんな女なんだろうか。




頭の中に茶髪にパーマをかけた化粧の濃い女の人を想像する。想像力が乏しいあたしだから若干モザイクがかかっているものの、敵となる女はあたしが少し苦手とする人種だ。


つまり…なんだろう。ギャル?