「花ちゃん俺もうだめ…。今日一人で寝れるかな」

「何かあったらあたしが先輩の布団に潜り込みますよ」

「ダメ、百ちゃんに俺がぶん殴られる」

「ははは…」



お化け屋敷って結構体力が削られると思う。


出口から飛び出してきた瞬間にあたしと先輩はその場に座り込んでしまった。案の定、颯希達は見失うし。いや、あの状況では2人の姿探すなんてそれ所じゃあないのだけれど。




「今度来るときは百ちゃんいなきゃだね」

「ですね」



こういう時にいつもあたし達の間にいるお兄ちゃんの有難さに気付く。


きっとあたしがお化け屋敷に入るときは大丈夫だ大丈夫だ、ここ掴んでろって言ってくれるんだろうな。かっこいい。


それと比べると堀先輩の頼りなさよ…と溜息。



なんでこんな人が好きなんだろ、そう思うも、花ちゃん次どこ行きたい?って頭を撫でてきた。それになんだか心底ほっとしてしまう自分がいて、多分理屈で考えるよりも感覚的に好きなんだろうなって思った。




「……、先輩頭ぐちゃぐちゃになるんで触らないでください」




手ぐしで髪を整えながら返事をする。耳が異常に熱を帯びていて、あたしはムッと口をつぐんだ。