あれ、花ちゃんひとり?と堀先輩に聞かれあたしはぎくりとする。


そうだ、今あたしは颯希と坂田くんのデートを尾行しているんだった。……まあ、一人なのは正解なのだけれど。こんな賑やかなお祭りをぼっちで回ってますなんて言ったらあたしはなんだか可愛そうな子だ。


えっと、あの、その…。なんと言い訳しようか目が泳ぐ。答えがしどろもどろになり、焦っていると何かを察したのか堀先輩がいきなりあたしの手を取った。




「百ちゃん、俺今日は花ちゃんとお祭り堪能するね!」

「は!?ちょ……おいっ」



突然の出来事にあたしは目を見開く。


今、一体何が起こっているのだろうか。人込みを颯爽と駆け抜け、右手には堀先輩の大きな手。





「えっと、あの!堀先輩!?」

「今日は花ちゃんを独り占めしちゃうね」

「は!?」

「冗談だよ、冗談!花ちゃん、瑛太と日野ちゃんのデート尾行してたんでしょ?」

「うへ」




どこぞの恋愛ゲームでしか聞かないような甘い台詞を吐かれ、思わず心臓が飛び跳ねた。そりゃあ冗談ですよね、ですよね。そう思ってても、心臓はまだバクバクと騒がしい。


というか、尾行ばれてたんですか。と通りかかった屋台で林檎飴を買ってもらい、それを口にしながら2人を見失わないように後をつける。



途中、花ちゃん見て見て―これ付けたらばれないと思うよーとひょっとこのお面を手にはしゃぐ先輩にバカですか、と一声。と、そこでしばらく2人を見ていた先輩がねえ花ちゃんと一言。