「先輩、ちなみに坂田くんの好きな人って?」

「日野さんだよー?」

「え……」

「日野さん」



日野さん。日野さん。日野さん……。






「うええええ!?もしかして颯希のことですか!?」

「そうだよ!花ちゃん知らなかったの!?」






うっそーいっがーい、なんて言う堀先輩は何だかうざい女子高生みたいだ。いや、うざいのは変わらないけれど。


まじか、坂田くんは颯希が好きだったのか。という事は先の好きな人は坂田。待てよ、もしかしてそれって。






「……坂田くんと颯希って両想いってことですか」

「え、日野さんの好きな人って瑛太なの?」

「えっ先輩颯希の好きな人知らなかったんですかー?いっがーい!」





ぷぷぷと仕返しに笑ってやると、堀先輩に花ちゃんうざいと言われた。解せぬ。


にしても両想いだったなんて、颯希よかったねおめでとうってお祝いしてあげたいけどそこは我慢だ。これはどうにかしてやらないと。


あたしが真剣に堀先輩に視線をやると、どうやら先輩も同じ考えだったらしく。珍しく意見が合いましたねと固い握手を交わした。


そう、それはよくある少年漫画の熱い友情もののような約束を交わすシーンみたいに。いや、そこで友情なんて言葉を使うと、あたしは複雑なんだけども。


そう、これが百瀬花と堀那月による颯希と坂田くんのラブラブ作戦の始まりであった。