「はい、どうぞ」


私は彼が差し出した手の中にある1冊の本を受け取った。


「…ありがとうございます」


そう言うと、彼は、優しく微笑んで本棚へと手招きをした。


なんだろう、と不思議に思ったけどその答えが知りたくて背中を追いかけた。



「これ、好きそうだと思って」


そこにあったのは、ネコの写真集。


思わず顔をほころばせる幸せそうな寝顔、好奇心旺盛な猫じゃらしとの葛藤など、愛くるしい写真が集まった本が何冊もある。