貸し出し手続きを終えて、図書館から出ようとしたところで、右手に本を挟んだ、さっきの男の子にばったり会った。 少し見ていると目線が交わった。 …っ! 私は驚いて、手に持っていた『ネコの肉球大辞典』を落としてしまう。 バサッ、と大きな音が館内に響いたことに恥ずかしくなって、あわててかがむ。 しかし、拾おうとした本の上には大きな手のひらがあって、その手が目の前の彼の腕から伸びていることに気づくのには時間がかからなかった。