「ってか、今って教室で文化祭の準備のはずじゃ…」


不信がっている入谷くんに、とっさに嘘が出てしまう。


「お、お腹が痛くて…」


そう言いながらお腹をさする。


入谷くんは、たちまち心配そうな表情を浮かべた。


「大丈夫?保健室、ついて行こうか?」


「ううん。ちょっと休めば治る気がするから」


「そっか、お大事に!」


手を振って、逃げるようにトイレにかけこんだ。


腹痛っていう設定上、逃げ場はここか保健室しかないと思った。


でも、さすがに仮病で保健室へ行くのは申し訳ないから…