そして、もともと、専業主婦だったお母さんは、お父さんの死により、働きはじめた。


私とお兄ちゃん、おばあちゃんにおじいちゃん。


みんなの分まで養っていくのは、思っていたよりもずっと大変らしく、私たちが起きる前に仕事へ行き、私たちが寝てから帰ってくる、という生活になっていた。


そんなときお母さんが出会ったのが、新山さんという、新しいお父さん。


「大丈夫だよ、俺がいるからね」


しわしわな顔を笑顔を染める優しい新山さんは、きっとお父さんに代わる、かけがえのない存在になる。


そう思っていたのは、数日だけだった。


その人が来てから、全てが変わっていったんだ。