「永瀬さん、こっち向いて」 「…無理です」 「なんで?」 「緊張するから…」 柏木くんのことが好きなんだと、分かってしまうと、こうして話すだけでも、胸の鼓動がはやくなっているのが分かる。 「しおり」 「………っ!?」 今のは、なに? 柏木くんの声で、柏木くんのほうから聞こえた。 だけど、下の名前で呼ばれたことは一度もないし… なんて考えていると、柏木くんの手が私のほおを優しく包んだ。 そして、もう一度…