「男子なら普通、仲がいい友だちがいいって思うでしょ…?柏木くんだったら、入谷くんとか」
あまり根拠のない意見だから、間違ってたらって思うと、柏木くんの顔が見れない。
だけど、柏木くんはまた…
「なんで?」
「いや、だから…」
どう答えればいいか、悩んでしまい、言葉に詰まる。
でも、私が考えているそのときに、短い沈黙の時間は、すぐに終わりを迎える。
「俺は、永瀬さんの隣で嬉しいよ。拓海は友だちだけど、隣がよかったとは思わない」
「え……」
驚きのあまり、固まってしまう。
「それって、どういう…」
すると、にこっと笑って、答えを濁す。
「タイマーセットしてくるね」
カメラの方に走り出して、佐川さんに尋ねながら、ボタンを操作する。