救世主…


みんなが、心の中できっとそう思っただろう。


だってほら、あんなにも暗かった表情が、光り輝いている。


「ありがとう、佐川さん!」


「本当、助かったよ」


「さすがです!」


みんなの尊敬の目が佐川さんに向いている。


すると、佐川さんは、注目されることに慣れていないのか、顔を赤く染め、カメラだけを彼らにぐいぐいと押し付ける。


「いいから、早く撮っちゃって!私、用事あるんだけど」


「…そうだよね。ごめん、付き合わせて。本当に、拓海のせいで」


「ちょっ、伊月!?」


柏木くんの一言で、この小さな世界は笑顔に包まれる。