「ねえ、父さん…」


「ん?どうした」


「ううん、なんでもない」


「そうか。悩みでもあったら、いつでも言えよ」


「…うん」


あのネコが死んでから、何度、この会話をしただろうか。


言いたくても、言えない。


ねえ、父さん…覚えてる?


あいつ、もういないんだよ。


死んじゃったんだよ。


もう一度会わせたかったのに、会えないんだよ。


どうしても、この言葉が喉から出なくて、苦しかった。