「…っどうして」


公園に戻ると、俺と同じようにうわさを聞いて心配になったのか、伊月がいた。


ダンボール箱の近くで、ただ1人で泣いていた。


その様子から、ネコはもうだめなんだと、気付いてしまう。


その瞬間にフラッシュバックされる、あのネコとの思い出。


エサを与えたときの、素早い食いつき。


何回触っても、癒される肉球。


少しつり上がった、黒い目。


どれもが、忘れられない大切な記憶。


そんなあいつの最期を、見届けることができないなんて…


いつまでも溢れ続ける涙を、必死にぬぐって、その場を去った。