「ただでさえ忙しいのに、そんな野生の動物なんかの治療をするひまなんて、ないんだよ」 俺はなにも言い返せず、その場に立ちすくんだ。 『そんな野生の動物なんか』 そう言われたのが、悔しくて、悲しくて。 野生の動物のなにがいけないんだろう。 野生だって、飼われてたって、生命の重さは同じじゃないか。 だったら、勝手な人間の都合で手放した、俺が悪いのか…? なんて、考えれば考えるほどに、涙が出てくる。