「それにしても、先輩方の作品、すごかったですねー!私には、あんなの無理ですよ」
帰り道、特に寄るところもなく、そのまま下駄箱に着いたら、偶然新山さんに出会ってしまい、なんとなく一緒に帰ることになった。
「ああ…うん。そうだね」
正直、新山さんが気になって、見学に集中出来なかったんだけど、そんなこと、言えるはずもない。
「実は、佐川さんに誘われる前から、私も美術部入ろうかなって思ってたんです」
「…え」
ぼんやりと空を見上げて、つぶやくように言葉に乗せた、新山さんの気持ち。
その衝撃に、歩くことも忘れ、立ち止まってしまう。