「今日から、キミの名前はイチですよ」


春の日差しの下で、柔らかく、暖かい笑顔を、ゲージの中へ向ける。


ほのぼのとした、優しい空間のはずなのに、ひとつの疑問が浮かぶ。


「 『イチ』って…?」


「この子のことです」


当たり前のように返される。


「それは分かるんだけど、どうしてその名前なのかと思って」


やっと納得してくれたようで、ああー…と一言声を漏らした。