「拗ねてる…」


長い付き合いで得た知識をぽつりと呟いたら、キミのそのきれいな目で、睨んできた。


「拓海のせいだから…!永瀬さんが好きなのに、こんなことしないでよっ」


涙をにじませながら言った希美の言葉に、なんて言えばいいか、分からない。


永瀬が好き。


そのはずなのに、俺が今、大切にしたいって思うのは、他ならない希美。


それは、鈍感で馬鹿な自分でも理解できる。