「その…ごめんね」


真剣に、本当に申し訳なさそうに謝る永瀬さん。


今、永瀬さんがどんな表情なのか、少し気になる。


だけど、見ようとすれば見れるのに、なぜか、目の前の空をただまっすぐに見てしまう自分がいる。


なんでかな。


「何言ってんの、永瀬さん!そんなこと、気にしなくていいのにー。私、全然怒ってないよ?」


明るい声で、軽く永瀬さんのの背中を叩く。


「本当に怒ってないの…?」


「え?怒ってないって言ったでしょ。もう、本当にどうしちゃったのー?」


記憶喪失とか?なんて言いながら、また頭を触ったり、撫でたりする。


これでいい、これでいいんだ。


そう思いたい。